「最近NFTという言葉を目にするけど何なんだろうな…」
「NFTが数億円で売れた、という記事を見たけど、何なの?」
「NFTって仮想通貨関連のあれでしょ?よくわからないな」
この記事では、そうした疑問を持つ方に対して、専門用語をできるだけ使わずに、わかりやすく解説していきます。
2022年1月現在、かなりホットなキーワードなので、少しでもイメージが持てていると話題についていきやすくなりますよ。
目次
NFTとは?
そもそもNFTとは何なんでしょうか?
NFTとは「Non Fungible Token」の頭文字をとった言葉で、日本語では「非代替性トークン」といわれます。
でも、それでもわかりづらいですよね。
もう少しかみ砕いていきます。
代替性がある、とは?
「非」代替性とは、代替性がない、ということです。
代替性、とは「交換することができる」という意味ですね。
たとえば、私が持っている1,000円札と、あなたが持っている1,000円札とは別のものですが、交換しても価値は変わりませんよね。
交換した後も、どちらも同じ「1,000円札」として使うことができます。
私が持っている1,000円も、あなたが持っている1,000円もふつうであれば同じように使われているからです。
これが「交換可能である」、つまりは「代替性がある」ということです。
「非」代替性とは?
で、「非」代替性、つまり「交換できない」ということはどういうことかというと、他のものに変えることができない、ということです。
先ほどの1,000円札の話で言うと、実は1,000円札にはそれぞれ番号が振られているんです。
お札の左下を見てみるとわかります。
たとえば、この番号が全て同じ数字のキリ番だったりすると、途端にその千円札が貴重に思えてきますよね。
もしかしたら1,000円以上の価値をつけてくれる人が現れるかもしれない。
そうなってくると、この1,000円札は他の1,000円札とは「交換できない」ものになってくるかもしれません。
これが「交換できない」、つまりは「非」代替性、ということです。
結局どういうことなのか?
ここまでで代替性がある(交換ができる)ということと、非代替性(交換できない)ということのイメージは持ってもらえたのではないでしょうか。
そこで、NFTというのはざっくり「デジタルデータに、他のモノと違いますよ、1点ものですよ、という証をつける技術」だとイメージしてもらうのが良いのではないかと思います。
「他のものと違う」、「1点もの」というのが「非代替性」ということですね。
厳密にいうと、1,000個限定、とかもできるので必ずしも「1点もの」とは限らないのですが。
こうして「唯一の(もしくは限定的な」モノとしての証がつけられることで、たとえば自分の著作物(自分が作ったイラストや音楽など)とか、証明書(資格や卒業証書、運転免許証など)への活用ができるのではないか、と注目されているわけですね。
関連する技術としてブロックチェーンの説明
それではどうやってその証明をするのでしょうか。
NFTにおいては、ブロックチェーン技術が活用されています。
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンとは、簡単に言えば、「後から修正したりすることができない台帳」というモノです。
ブロックチェーンでは、「ブロック(台帳)」にさまざまなデータが格納されているわけです。
で、それを1ブロックずつ前のブロックと結びつけていっています。
「ブロック」が「鎖(チェーン)」のように1本に連なっていっていることから「ブロックチェーン」と呼ばれています。
なぜ改ざんができないのか
ブロックチェーンでは、後から改ざんしたりすることが事実上難しくなっています。
というのも、ブロックを前のブロックと結びつける(承認する)ということが四六時中世界中で行われているからです。
どこか1つのブロックを修正しようとすると、世界中のそうしたデータをいじっている人たち(マイナーといわれます)を一斉に欺いて処理する必要があるからです。
今日においてはそうした、1つのブロックを前のブロックと結びつける作業(これをやっているのが「マイナー」と呼ばれる人たちです)は超高スペックなパソコンを駆使して行われています。
しかもそれが世界中で行われているので、技術上改ざんは難しい、ということですね。
NFTの特性を補完する
そうした「後から改ざん、修正することが難しい」という特徴があるからこそ、デジタル上で証明を与える「NFT」にもブロックチェーンの技術が活用されているわけです。
どういうところで活用されているのか
それではNFTは実際にはどういったところで活用されているのでしょうか。
アートの世界
一つ目はアート界です。主にイラストですね。
例えばCryptoPunksやBoredApesYachtClubなんかが有名ですね。
これらは1つ数千万円単位で売られていたりします。
日本のNFTでは元ブロガーのイケハヤさんが広めているCryptoNinjaなんかも有名かと思います。
ゲームの世界
ゲーム関連でも注目を集めています。
ゲーム内で手に入れられる装備やアイテムなんかをNFT化して販売する、という形式です。
これはAxie Infinityに代表される昨今のPlay To Earn(ゲームをプレイして稼ぐ)という流れにも一致しますね。
レアアイテムをNFT化する(もしくは最初からNFT化されている)、それをゲーム内もしくは他のサービス(Open Seaなど)を通して他のプレイヤーに販売する、といった流れです。
その他にも、あるゲームの装備をNFT化して自分のIDとひもづけることで、他のゲームでもその装備を使えるようになる、なんて事も言われたりしています。
冒険始めた初日から、別ゲームの装備をもってきて伝説の剣を装備してスタート、なんて事もできるようになるのかもしれません。
ファッション業界
さらにファッション業界でも注目されています。
たとえば、有名ブランドのスニーカーなんかもNFT化されて販売されていたりします。
これは後述する「メタバース」内で自分のアバターに着せられるようになったりすることで市場にリーチしようという企業の戦略かもしれません。
これまでは誰でも手に入れられる、コピーもできる、といったモノであったデジタルのデータが、NFT化することで固有のモノになるわけです。
ブランドものであれば、NFT化することで、確かにそのブランドのもので、しかも誰から誰に手渡されていったものなのかがわかります。
こうすることで、その商品の価値自体を上げることもできるわけですね。
課題は何なのか
そうはいってもやはりまだ始まったばかりの業界、技術なので、何か課題はないのでしょうか。
ここでは課題のうちの一面について考えてみましょう。
法律的な課題
一つには、法律的な課題があります。
実際、日本ではこの記事の執筆時点(2022年1月23日)では「デジタルデータに所有権は認められていない」のです。
今すでにNFTはさまざまな価格で売買されており、そのNFTを所有しているような感じにはなっています。
ただ、法律上は「NFT」に関してまだ記載されていないので、将来的に万一裁判などでその所有権を争うことになった場合にはどのような判決が下るのかは注目しておくべきことといえます。
コピーができないわけではない
他にも誤解されがちなのですが、NFT化したからといって、「コピーができなくなるわけではない」ということです。
たとえば、有名なNFTアートであるCryptoPunksも、パソコンの画面上でコピーやスクリーンショットをとることはできます。
その画像をSNSのアイコンなどに設定することもできてしまうわけです。
あくまでNFT化は、そのモノ(たとえばCryptoPunksの画像データ)が唯一のものであり、誰が所有しているのか、ということを特定するだけに過ぎないわけです。
なので、必ずしもコピーができない、というわけではないので注意しましょう。
ここは少し理解が難しいところかもしれません。
今後どうなっていくと考えられているのか
良い面も、まだまだな面もあるNFTですが、今後はどのような発展を遂げていくのでしょうか。
もちろん上で紹介したような、すでに活用されている業界では今後もいろいろな形で活用されていくでしょうが、その他についても考えてみたいと思います。
メタバース空間
今非常に注目されている「メタバース」とのつながりは見逃せません。
2021年にSNSのFacebook社が「メタバース企業になる」というプレスの下、社名を「Meta」に変えたことは有名ですよね。
メタバースとは簡単に言えば「仮想空間」のことですが、これまでのいわゆる「VR(Virtual Reality」よりも、より三次元的で感覚的なモノが多く共有される場、というのがイメージわきやすいでしょうか。
メタバース内では、ユーザーはそれぞれ自分の好きなアバターで参加することになります。
他の人とチャットをしたり、会話をしたり。
もちろん、アバターの表情もどんどん豊かになっているので、感情も伝えやすくなってきています。
メタバース内で会議をしたり、ライブを見に行ったり、一緒にゲームをしたりと、まさにこれまでの日常生活をそのまま行うことができるようになるかもしれません。
日本で有名なのは「Cluster」だと思います。
【Cluster】https://cluster.mu/
誰でも簡単に登録できるのはメリットですよね。
ここに参加するアバターをNFT化したり、アバターに着せるファッションやたとえば剣なんかもNFTになるでしょう。
大手資本の参入
さらに、2021年には数多くの大手企業がNFT業界に参入することを発表しています。
たとえば、日本の企業だけでも、
・【楽天】楽天、ブロックチェーン技術を活用した「NFT」の事業に国内で参入し、「Rakuten NFT」の提供を開始予定(以下は、楽天グループのプレスリリース記事です)
https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2021/0830_01.html
・【スクエアエニックス】NFTデジタルシール『資産性ミリオンアーサー』第三段「-盗賊王の埋蔵金-」2021年12月23日(木)20時から発売予定( 以下は、スクエアエニックスのプレスリリース記事です)
・【メルカリ】パ・リーグ6球団およびパシフィックリーグマーケティングとメルカリ、共同でNFT事業に参入( 以下は、メルカリのプレスリリース記事です)
https://about.mercari.com/press/news/articles/20211216pacificleagueexcitingmoments/
といった誰でも知っているような企業が参入してきています。
海外の企業で言えば、最近はTwitter社がTwitterのアイコンにNFTが設定できる機能をリリースする、というプレスが出ていましたね。
日本では2022年1月24日時点ではまだ設定できないようですが、まだまだ始まったばかりとはいえ、今後に期待が膨らみますよね。
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。
この記事では、
・NFTっていう言葉は目にしたことがあるけど何なのかいまいちよくわからない
という方に向けて、
・NFTのイメージ
・どんな風に使われているのか
・課題としてあげられることは何なのか
・今後どうなっていきそうなのか
といったことについて解説してきました。
NFTはブロックチェーン技術を使っており、その中でもスマートコントラクトという技術を使うことで「二次流通」の時にもNFTを作った人に報酬が支払われる、という設定をできたりもします。
二次流通とは、たとえば最初にスニーカーを買って、自分では不要になったから誰かに売る、といった時のことですね。
そうすることで、セカンダリー事業においてもクリエイターに収益が還元される、といったことも実現できるようになるわけです。
今後にも期待したいですね。
ちなみに、NFTの多くはクリプト(仮想通貨)で売買がされています。
仮想通貨を取り扱うには専用のウォレット(財布のようなもの)が必要なので、少しでも関心をもって、「やってみようかな」という方は今のうちにウォレットを開設してしまいましょう。
仮想通貨の始め方については、以下の記事で解説していますので、参考にしていただけるとうれしいです.。